Speaks vol.99
  <<「聞いて」「聴いて」「訊く」>>

あるビジネス書に、
「聞いて」「聴いて」「訊く」という話がありました。
同じ「きく」にも3段階あるというのです。

実はこれ、テニスにも非常によく当てはまる話です。
例えばレッスンでコーチの話を「聞く」という生徒は、
話が聞こえている程度のBGM的な聞き方になっています。

より熱心な生徒は「聴く」、つまり傾聴していて、
アドバイスをしっかりプレーで実行します。

そしてさらに熱心な生徒は、「訊く」、つまり尋ねるわけです。
実行してみて、うまくできなかったらその原因を尋ねて、
問題を解決していくのが「訊く」のレベル。

特に最後の「訊く」は、話の内容を理解していないと、質問もできません。
そういう意味では、尋ねてばかりいるのだけれど、
その人はコーチのアドバイスをいちばん理解していると言えます。

「聞く」と「聴く」と「訊く」では、当然結果に差が出てきます。
理解度としての噛み締め方がまったく違うからです。
よく「飲み込みが悪い」と言いますが、それはよく噛み締めていないということ。
理解度の咀嚼が、粗すぎるのです。

よく噛み締めれば、頑張らなくても、スッと飲み込める。
それは、「訊く」レベルであるということなのです。

「聞いて」「聴いて」「訊く」、
自分がどの段階にいるのか、一度確かめてみてはいかがでしょうか?
「聞く」の人は「聴く」を、「聴く」の人は「訊く」を心掛けることで、
今よりレベルアップできるに違いありません!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広