Speaks vol.233
<<「目標を立ててプロセスを歩む」オリンピアンに学ぶ知恵>>
平和の祭典2024年パリオリンピックが、
多くの感動を残し閉幕しました。
次はまた4年後、
2028年のロサンゼルスオリンピックに向けて、
再び選手たちはトレーニングに励みます。
競技を見ていて改めて思ったのは、
「日本は強くなった」ということ。
少し前までは「世界の壁」が立ちはだかり、
たとえばバレーボールなどは負けても、
「体格差」を理由に惜しむ声もささやかれました。
しかし今は多くの競技で日本が負けると、
「まさか!」と声を大にして驚愕するシーンが、
パブリックビューイングなどを見ていても多々ありました。
勝つことは本当に大変。
選手たちが4年に一度の大舞台を踏むまでに、
どれだけ頑張ってきたかに、思いを馳せずにはいられません。
一方で選手が敗戦後に「負けてしまいました」などとインタビューに応えると、
リポーターは慰めたいのか「オリンピックに出るだけでもすごいですよ!」などと、
応じるシーンがあります。
だけどこの応じ方にはいささか違和感を覚えます。
出場するだけではなくて、
メダルを獲るために選手たちが頑張ってきたプロセスを顧みると、
少し軽すぎる。
超一流のアスリートに向かって「出るだけでもすごいですよ!」は、
ずさんなコメントだと思うのです。
負けて残念に思う「勝利至上主義」の気持ちも、
確かに分からないではありませんけれども、「勝負は時の運」とも言われます。
力の強い者が必ず勝つとは限らない。
なので結果だけではなくて、
メダルを獲るためにやってきたプロセスを肯定する姿勢が、
選手に対するリスペクトではないでしょうか。
世界最高レベルのオリンピックですらそうなのですから、
国の期待を背負っていない愛好家であればなおのこと結果よりも過程を重んじ、
目標に向かって頑張るプロセスを、
自他ともに認めてあげてほしいと思うのです。
さて一流のアスリートから私たちが学べる知恵といえば、
「目標の重要性」ではないでしょうか。
目標がないとどうしても、
そこまで頑張れないし、自分を追い込めないし、
プロセスもおざなりになる。
結果はもちろん望むけれど、結果は結果。
自分で努力できるのはプロセスなのであり、
そこへフォーカスする習慣が身につくと、いろんなシーンに役立てられます。
メダルを獲るか獲らないか、だけではありません。
たとえばテニスでは、あるショットの結果は当然、
相手コートへ「入ってほしい」のだけれど、
そのプロセスにおいてはこれまでお話ししてきた、
走りながら打つなどの「デュアルタスク処理」、
あるいは不確実な状況に耐える「ネガティブ・ケイパビリティ」など、
遂行しなければならない「過程」が存在します。
あくまでもその結果としてショットが相手コートに入る「結果」が、
一つひとつのプロセスを経て結実します。
スポーツは目標を持って、
プロセスにフォーカスする習慣作りに役立てやすい側面があり、
それもスポーツを「やる価値」のひとつだと思います。
そのプロセスにフォーカスする習慣作りは、
日常生活にも波及するでしょう。
美味しい料理を作りたくてもしかるべきプロセスを踏まないと、
「美味しい結果」は得られません。
ビジネスの営業を成約させたければ、
計画を立てるなどのプロセスが必ずあるはずです。
それらは目標が具体的であるほど、
何に、いつ取り組むかのプロセスも明確になるし、
モチベーションも高まるはずです。
プロセスの重要性についてはこれまでにも述べてきましたが、
改めてそこへフォーカスする習慣作りを、
意識してみてはいかがでしょうか。
習慣ですから繰り返し意識すれば、
必ず身につくスキルといえます。
私たちが直接関わって頑張れるのは、
「結果」ではなく「プロセス」です。
始まったばかりの2024年パリパラリンピックでも、
テレビには映らないかもしれないけれど、
選手たちの歩んできたプロセスが確かにある。
多くの人たちを勇気づけるドラマが生まれるに違いありません。
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広
さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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