Speaks vol.236
  <<ボールを打つにも「プロセス」がある>>

ここ数回に渡って「プロセス重視」の話をしています。

テニスプレーヤーが試合で優勝する、
受験生が志望校に合格する、
ビジネスマンが掲げたノルマを達成する。

そういった「結果」を得るためにできることといえば、
私たちが携われるのは、
練習したり、勉強したり、営業したりする「プロセス」なのでしたね。

もちろんプロセスを頑張ってはみたけれど、
結果が伴わない場合もあるでしょう。

しかし「それはそれ」。

また目標を立て直して、
新たなプロセスを頑張るのが人生なのだと思います。

さてこの話を突き詰めると、
「ボールを打つためのプロセス」があることに気づきます。

テニスが上手くいかないプレーヤーがナイスショットの「結果」を得るためには、
「プロセス」が必要。

それをすっ飛ばして「ただ打つ」だけの傾向が見て取れます。

では、ボールを打つためのプロセスとは、何なのでしょうか?

相手の打ってきたボールについて、
まず目でよく見て「認知」します。

次に、スピードは速いのか遅いのか、
球種はスピンなのかスライスなのか、
弾道は高いのか低いのかなどを「判断」してから、
自分が実際にボールを打ち返すスイングに至ります。

つまりボールを打つプロセスとは、
「認知と判断を経る」と言い換えられます。

ナイスショットの「結果」が上手く伴わなかったとすれば、
それは「プロセス」に間違いがあったときに起こります。

たとえばバック側にボールが来ているのにフォア側で構えたり、
スピンが飛んできたのにポジションを下げないから弾みを押さえられなかったり、
スライスが低く滑ってきたのに持ち上げ切れずにネットミスをしたりする。

もちろん速くて遠いボールが来るなどして、
上手く打ち返せないときもあるけれど、「それはそれ」。

プロセスは正しかったけれど結果が得られなかった場合は、
仕方がありません。

しかしここで問題になるのは、
正しいプロセスを踏まずに返球できずにいると、
いつまでも同じエラーを繰り返すこと。

たとえば自動車の運転でいえば、見通しが悪い場合は、
状況を「認知」して右折できるか「判断」し、
最後にハンドルを切るプロセスを経ます。

見通しも対向車もお構いなしにハンドルを切る間違ったプロセスを踏むと、
事故を起こしてしまいますよね。

とはいえテニスの場合は、
相手が打ってきてから自分が打ち返すまでに、
「認知」して「判断」しなければならないプロセスを踏める時間が、
「とても短い」という特性があります。

確かに時間は「とても短い」けれど、
「ない」わけではありません。

ゼロではないのです。

その短い時間内だから、限度はあるにせよ、
脳を素早く働かせて「認知」し「判断」する能力は、
トレーニングによって獲得できます。

トッププロによるすさまじいラリーは、
ボールのスピードばかりに目がいきがちだけど、
コンマ数秒の間に素早く「認知」と「判断」のプロセスを踏んだ結果の表れです。

では、「認知」と「判断」を速めるには、
どうすればよいでしょうか?

「労力の配分」により可能性は高まります。

次回に続きます。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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