Speaks vol.98
<<得手不得手に偏りがある人へ>>
フォアハンドもバックハンドもボレーもサーブも、
ショットの種類を問わずテニスの技術は、
自己採点で60点はあることが理想です。
もちろんそれよりも高いに越したことはありません。
つまり、すべてが半分以上の水準で打てるとよいのです。
ところが中には、フォアハンド80点、
だけどバックハンド20点など、
非常に得手不得手に偏りがある人がいます。
フォアしか打てないから全部回り込むという極論もあるけれど、
現実問題としてそんなに動けるものでもありません。
「強みを活かす」とは言っても、極端に評価の低いショットがあると、
むしろ強みを消してしまうのです。
ところがそんな人に限って、
バックハンドを強化するのかといえば、そうではなくて、
フォアハンドばかり打っています(笑)。
それはなぜかというと、バックハンドに苦手意識を持っているから。
だけど前回解説したように、
「苦手」は単に「嫌い」なだけの場合もあって、
食わず嫌い同様、
試してみれば案外イケるというケースは多々あるのです。
ショットの得手不得手に偏りがあるという人は、
まずバランスを取るようにしてください。
フォアハンドの練習を犠牲にして、
例え80点が70点になってもいいから、
バックハンドを60点の水準まで引き上げる。
そうしないことには、
フォアに回り込むためのフットワークが大変になるし、
フォアだけだと打てるコースも限られる、
またどうしても回り込めない場合は凡打になるなど、
いろんなところで起こる支障が積み重なって、
結局は完成度の高いテニスにはなり得ません。
もちろん、フォアとバックの関係だけではありません。
サーブもリターンもボレーも、極端な苦手ショットがあると、
それが得意ショットの足を引っ張ってしまうことになるのです。
苦手なショットを改善するには、
食わず嫌いの克服と同じで、まずは試してみることです。
そのためには、過去の印象にとらわれずに、
「単に嫌いなだけかも」と客観的に正しく認識すること。
すべてのショットが60点以上のプレーヤーを目指しましょう。
50点以下だと思うショットを、集中的に練習してください。
それにより、完成度の高いテニスができ、強いプレーヤーになれます!
解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広