Speaks vol.62  <<プロセスを重視する>>

前回は、スランプの対処法として

マリナーズのイチローは、1、2打席目が凡打であったとしても、
3打席目にはヒットを打つ。

それは、1、2打席目のミスを気にしていないから、
ボールに集中できた結果として、3打席目のヒットにつながったと説明がつくのです。

今回は「気にしない」テーマの続編、「結果を気にしない」という話。
打席に立ったイチローは、「次のボールを空振りしたらどうしよう」と悪い結果を考えることもなければ、
「次のボールを打ったら記録達成だ!」と、良い結果を考えることもしていないはず。

つまり、結果を気にしていないのです。
結果を出す人に共通するメンタリティが、実は「結果を気にしない」という姿勢。

なぜなら、結果を気にしてしまうと、
目の前のボールをバットの芯に当てるという作業に、没頭できなくなるからです。
今、目の前のやるべるきこと(芯に当てる)をやれば結果(ヒット)はついてくるという
プロセスを重視した姿勢を貫くことの副産物として、記録が生まれるのです。

テニスで言えば、勝ち負けを気にしない。
ましてや、うまく打てるかどうかなんて心配しない。
結果は完全無視で、今この時に集中し、ボールを打つことだけに気を向けるというのが、
結局は結果を出すための唯一の方法論です。

そうは言っても「結果が気になる」「今、この時に集中できない」という人は、どうすればいいか?
集中とは、「極めて単純な動作を、意図的に繰り返す作業」です。

イチローは、ネクストバッターズサークルでのストレッチから、素振りの回数、
バッターボックスまでの歩数、バットを大きく回して構えるしぐさのすべてが毎回同じ。
何も難しいテクニックは含まれていません。
極めて単純な動作を意図的に繰り返して、集中力を高めているのです。

皆さんも集中の儀式として、ぜひルーティンワークを取り入れてみてはいかがでしょうか。
ポイントは、「複雑にならないこと」。
そして「意図的にやること」の2点。
無意識で繰り返す貧乏ゆすりなどはただの癖なので、集中とは無関係です(笑)

結果にとらわれず、今この時に集中するプロセス重視の姿勢が、
あなたに最良の結果をもたらします!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広