Speaks vol.102
  <<自分の意志で失敗しよう>>

練習したことが実践できないという人は、少なくありません。
例えばネットプレーの練習をしてから、
ゲーム形式で試してみようとなったときに、
なかなか皆さん、前に出て行かないのです。

どうしてなのかと尋ねてみると、
いわく「だって、失敗しそうだから」と返ってくる。

だけどこれこそ、実践できなくなる原因なのです。
「失敗と書いて経験と読む」と成功者は言いますが、
失敗しないことには、経験は積めないのです。

もちろん、練習で失敗はたくさん経験しますが、
それは自分の意思でやろうとしたアクションに対する失敗ではないので、
経験として残りにくい。

自分の意思で前に出て、
ネットプレーをしようと決断して実行した失敗だから、
経験として残り、その後に活用できるのです。

また、どんな経験が今後活かされるかというのは、
現時点では分かりません。

自分はネットプレーを身につけたいと思ったある1年間、
出場する試合のすべてをサーブ&ボレーで臨んだことがありました。
その結果はかんばしくなかったけれど、
経験(失敗)を積んで臨んだ全日本では、
ストロークとそのサーブ&ボレーを織り交ぜることで
ベスト8に進むことができました。

ストローカーだからネットプレーが必要ないとは、判断できません。
自分の意思で失敗し、経験を積んでおくことが、
将来思わぬ形で役立つこともあるのです。

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広