Speaks vol.141
  <<上手くいく仕組み>>

前々回の「変換力」、前回の「要約力」を象徴するエピソードとして、
あるレッスン生が「テニスが上達するポイントは仕事と一緒だ!」と、
意気揚々に話してくれたことが思い出されます。

テニスからの学びを得て「変換力」「要約力」を応用したら、
仕事も上手くいったというのです。
彼に私は一体、何を伝えたか?

例えばどうしてボールが飛ぶのかについて、
物理の法則として「上手くいく仕組み」を具体的に伝えたのです。
それを叶えるスイングとは、実際には「押し」ではなく「引き」であると。
この「上手くいく仕組み」が正しいかどうかというのが、
物事を成功させる最大の要点となります。

テニスでいうショットの威力とは、「ラケットの重さ×加速度」ですが、
スイングをいくら押しても加速度は上がりません。
それでいて「なぜ飛ばないのか?」と1万回反復しても、1万回飛ばないだけです。

だけど「上手くいく仕組み」としてちゃんと「引く」ようにすれば、
ボールは物理の法則に則ってちゃんと飛ぶのです。

根本的なところを是正しなければならないし、
根本的にところを是正しさえすれば、
すんなり上手くいくとも言えるでしょう。

これについて私のアメリカテニス修行時代のエピソードをご紹介します。
週末の練習がないオフの時に、よく釣りへ行っていました。
アメリカは広大だからたくさんのプライベートな池があるのですが、
そうとは知らずに、本当はいけないのですが、そこで釣りをしていたのです。

なかなか釣れなかったのですが、
1回だけ釣れたのに味をしめて、何度も通うようになりました。
しかしそのうち「プライベートな池だから釣りをしてはダメだ」と注意され、
「では、どこならいいのか?」と尋ねたところ、パブリックな湖を教えてもらえたのです。

結果、そこならジャンジャン釣れました!
今までなかなか釣れなかったのは、魚のいない池で釣りをしていたから。
それではいくら、釣り方やエサを工夫してみても、釣れるはずがありません。
努力したからといって結果が出るわけではなく、
「上手くいく仕組み」が正しくないと、いくら努力しても結果は出ないということ。

テニスでいえば、
スイングを「押す」ようにしている限り、
魚のいない池で釣りをしているようなもので、上手くいくはずがありません。
「引く」ようにすれば、上手くいく仕組みを使えるから自然と結果が出るのです。

商売でいえば、
人気のない商品をどうすれば売れるかについて、考えるようなものでしょう。
人気がないから売れないのであり、
人気のある商品を作る根本的な「上手く仕組み」を見直す必要があるのです。

冒頭の「テニスが上達するポイントは仕事と一緒だ!」と話してくれた彼は、
もしかするとそんなところに気づいたのかもしれません。

私は釣りのエピソードを、「変換力」を使ってテニスに置き換えることができました。
ただ努力するだけでは、魚がいない池で釣りをするようなものです。
必死に「押す」努力をしても物理の法則に反しているから、いつまでも威力が出ません。
根本的な「上手くいく仕組み」を見直して「引く」と、威力が出るのです。

ちょっと距離を置いて考えてみれば、
魚がいないのに釣ろうと努力するなんてバカみたいな話ですが、
その渦中にいるとなかなか気づけません。

今一度、携わっている物事の根本的な「上手くいく仕組み」が正しいかどうか、
疑ってみるとよいでしょう。
「上手くいく仕組み」がちゃんと機能すれば、
魚のいる湖だとジャンジャン釣れたように、テニスでも自ずと結果がついてくるはずです!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広

さあ、このSpeaksを読んだらさっそく練習しましょう!!レッスンへGO!!
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