Speaks vol.136
  <<応援の力>>

私たちは、自分のテクニックやフィジカルなどの内的な力を使ってテニスをプレーします。
しかし、外的な力の存在も忘れてはなりません。

外的な力とは何かというと、「応援の力」です。
これが結構大きな力になるので、できるだけ応援してもらえるように努力すると、
さまざまな望ましい結果が得られるでしょう。

今年のウインブルドンは、マレーが地元優勝を果たしました。
もちろん、ホームにおける「応援の力」も最大限に作用したに違いない。

そして何より、2年ぶりにレンドルがコーチとしてマレーのもとに戻ってきたのは、
結局レンドルは、マレーを心から応援しているからにほかなりません。
マレーはレンドルがそばにいると「安心する」といいました。
「応援の力」には、計り知れない精神安定作用があるのです。

ホーム&アウェーの試合では、
ホームの方が有利であることが経験的に知られています。
もしそこに、「応援の力」が働いていないのだとしたら、
ホームとアウェーの施設が違うだけで、有利性など現れるはずがありません。

そこにはやはり、自分のテクニックやフィジカルなどの内的な力だけではない、
応援による外的な力学が作用しているとみるのが現実的といえます。

サッカーではサポーターが「12人目のプレーヤー」といわれますが、
「応援の力」により本当に、
1人分の選手が加わったような活力がチームにみなぎるのでしょう。

なので、応援してもらえると、さまざまな恩恵を受けられます。
しかしこういうと、「自分には応援してくれる人がいない」などと、
嘆く向きもあるかもしれませんね。

しかし、親やパートナーなど、決してゼロではないはずです。
いろんな応援の力を素直に受け入れましょう。

「頑張れ!」といってくれる人は分かりやすいですが、
厳しく接して結果が出るように導いてくれる人もあなたの応援者です。
ある人から「怒られてばっかだよ」というあなたは、応援されている証拠。
なぜなら、応援の反対は「無視」だからです。

最後に、応援してもらえるようになるコツをお伝えしましょう。
それは、自分が誰かを応援する機会があれば、しっかりと応援するという姿勢です。
それが自分に返ってくるという法則があり、
理屈はわかりませんが、応援するために与えたエネルギーが、
鏡のように反射してくるといいます。

ですから、自分には応援してくれる人がいないのではなくて、
自分が誰かを応援すれば、それが自分に返ってくるのですね。

自分の内的な力だけではどうにもならない困難も、あるかもしれません。
そんな時に外的な「応援の力」があると、助けられます。
いろんな人を応援すればするほど、いろんな人から応援されて、
自分の力だけでは為し得ない無限の力を手に入れられるようになるのです!

解説/スポーツラーニング・黒岩高徳
構成/テニスライター・吉田正広