Speaks vol.03  <<「戦う」ということ>>

最近、練習会の場でも「戦う」姿勢について何度となくお話をさせていただいていますが、
「戦う」というのはどういうことなのかについて、今回はお話しさせて頂きます。

皆さんも本格的テニスシーズンが幕を開け、
様々なテニスの試合に出場されている(される予定がある)ことと思います。
試合の場では、これまでの練習(インプットプログラム)で培ってきた技術だけでなく、
また、その技術を状況にあわせて発揮する(アウトプットプログラム)だけでもなく、
さらなるプラスアルファ(いや、ベースとも言えるもの)が必要となります。
何が必要だと思われますか?
「戦術?」
当然、戦術も必要ですが、もっと根本的なものです。
それが、『戦う姿勢』です。
トッププロの試合を観ていると、まさに「『戦う姿勢』の戦い」とも言える激しい攻防が
繰り広げられていると感じます。

最近特にその姿勢の強さを感じるのが、ラファエル・ナダル(スペインの18歳)です。
先日開催されたマスターズシリーズ「モンテカルロ大会」では、見事、コリア(アルゼンチン)に対し
最後まで戦い抜き、優勝を果たしました。

では、「戦う姿勢」とはどういうことでしょう?
対戦相手に対して、敵意むき出しで試合をすることでしょうか?
試合は自分だけでは成り立ちません。相手がいて初めて成り立つものです。
相手とのボールのやり取りが試合ですが、相手が自分目掛けて
直接ボールをぶつけて来るわけではありません。
相手が打ったボールをいかにミスせず、また相手の打ったボールにいかにやられずに、
また向こう側のコートに狙って打ち返すかが、大切です。
したがって、テニスで戦わなければならないのは相手だけではなく、
自分自身とも戦わなければなりません。むしろ、自分に戦うウエイトの方が高いとも言えます。

「第2回メンタルタフネス・セミナー」でもお話しましたが、自分に打ち勝つため
の方法の1つとして「『ビビリ』を克服する」ことがあります。
ゲームカウント4‐4のサービスゲームで、ポイント30‐30の場面を想像して
みてください。
この場面で、攻撃的なプレイをするにはリスクが伴うため、
ビビって受身のプレイになってしまった経験はありませんか?
こうした場面でこそ、自分と戦い、ビビらずに自分に打ち勝つことが重要となります。
ビビリを克服して「チャレンジする」、ビビっている自分をまず認め、
その自分に立ち向かう勇気をもってチャレンジする姿勢が、相手に対して大きな重圧となるはずです。
チャレンジといっても、ただ、がむしゃらに打つということではありません。
「どうにかなれっ!ショット」ではどうにもならないのです。
攻撃的にインプレーをすること、これにまさる戦術はありません。

これには、自分へのチャレンジが何よりも大切なのです。
相手への敵意はチャレンジを生みません。
自分の弱さに立ち向かうことで初めてチャレンジが生まれるのです。
皆さんもまず、自分を認め、自分にチャレンジしてみてください。
このことを達成できたら、とても楽しいはずです。